「ううん、ホームまで行く。」



そう言って、私は凍えた右手で柊くんの左手をさらに強く握った。



明るくてお互い顔がよく見えちゃう駅に着く前にさよならしたほうがよかったのかもしれない。



『笑顔で見送ってやろうぜ。』

いつかの柊くんの言葉が頭をよぎった。



大丈夫。

最後は笑顔でって決めたから。



最後なんかじゃない。

大切な人の、初めの一歩なんだ。



私は、心の中で繰り返していた。