……変な人。

なんで家飛び出したって分かったんだろう。

離れようと立ち上がると、

「あっ、やっぱ、ちょっと待って!」

と呼び止められた。



「誰も立ち止まってくれないんだよ。
俺の唄聞いてってくんない?」



その人はにっこり笑ってギターをジャーンと鳴らした。





これが、私と柊くんが初めて話した日の出来事。

こんな素敵な運命と出会えるなら、たまにはどんより空も冷えた心もありかもしれない。

そう思うようになったのは、もう少し後の事だけども。