「何笑ってるの?」

「ん、ちょっと……
あ、そうだ。
写真撮ったげるよ。
デジカメ貸して」

「えー、恥ずかしいから写りたくない。
それより……」

猫を抱きかかえ、
僕のふとももの上にのせる彼女。

「ちゃんと抱いててよ。
写真とるんだから」

「またオレが写るの?」

意外なことに猫は大人しく僕のふとももの上に座っていた。

そして、他にも周りからにゃーにゃーと声が聞こえる。

見回してみたら、5匹の猫がいた。

それぞれ模様はばらばらだ。

白に黒いぶちのついた猫もいれば、
黄粉色の猫もいる。

どうやら道においたパンのにおいに誘われてきたらしい。

「また囲まれんのかオレは」

彼女が微笑みを浮かべながら少し離れ、
写真を撮っている。

「一樹くん動物に愛されてるね。
女の子にはあまり好かれないのに」

もものうえで気持ちよさそうに寝てる猫をなでてあげる。

もう一方の手でパンをとりだし、
周りの猫にあげていく。