「あれ、お腹すいてないのかな」

「かもねぇ」

「一樹くんが怖いんじゃない。きっと毒でもはいってるような気がしたんだよ」

「んなわけねーだろ」

彼女と話ながらも、
なおも食べてくれないかなぁとパンを持っていく僕。

しかし彼だか彼女だかわからないそいつは、
僕のほうを向こうともしない。

「嫌われてんのかなぁ。
ってか、うちで昔飼ってた犬みたいに女好きなのかもしれんな、こいつ」

とりあえず、パンを道に置き、
猫をじっと見てみたら、
玉らしきものがついてたので、
たぶんこいつは雄だと判断。

猫に微かな嫉妬を抱いてる自分がいて、
少しおかしくなった。