敷地内を左周りに進んでいく僕ら。

二人で並んで歩いているけど、
手をつないだりはしない。

華子は手をつなぐことを嫌う娘だった。

いわく、恥ずかしいから。

それを言われたりするたびに、
胸が切なくなった。

いちおう手をつないでみようと手を伸ばすけれど、
それは彼女にはたかれてしまったので、
仕方なくひっこめてしまった。

彼女は何かを発見したらしく、
またてけてけと走り出す。