でも、この場面の中で二人はそれぞれ、
楽しそうにしているのは感じられた。

この時の僕は彼女とこの町で暮らしていくんだということを実感として感じながら、
その生活を想像し、
幸せな気持ちになっていたことを思い出し、
それは28歳の僕を微かに哀しくさせるには十分な理由だった。

そして、その哀しさが、
これは夢なんだと僕に実感させた。

22歳の僕と彼女が動くのを、
今の僕は静かに見つめていた。