それは傍から見ればいたって普通の、
絵に描いたような恋人たちの一場面だったんだろう。

そう、すくなくとも僕の記憶の中ではあの頃の思い出は、
デジカメで撮った写真のようなイメージとして残っている。

動画のようなものという方が、
しっくりくるかもしれない。

それだけ鮮明なものとして残っている。

彼女の撮った写真で僕がどんな状態だったかも頭の中にあったので、
僕は僕らの姿を神の視点、
自分から見た視点じゃなくて、
少し遠く離れたところから、
二人の姿を見ることができた。

22歳の大学生のカップル。

二人はまだ若く、
将来への希望に満ちているように見える。

すくなくとも、僕はそうだった。

彼女がこのときどう思ってたのかは、
僕にはわからない。