「ごめん……」


いろんな感情が入り混じり、謝罪となって溢れた。


俺、マジ……情けねぇ。


中村はずっと、俺より頑張ってて。
俺より我慢してて。
俺より苦しんでて。


「中村のこと、疑ってごめんな。ごめんな……」


絞り出した声は震えていた。


雨で濡れて冷たくなった手を、小さな手が包む。

そのまま俺は中村の隣に引っ張られた。


責めるように降り注いでいた雨から解放され、息苦しかった心が少しだけ緩んだような気がした。


「……私」

「……うん?」

「雨が嫌いだった」

「うん」

「私ね。放課後いつも図書室にいたの。家に帰るのが嫌で、いつも図書室で本読んでた」

「うん」

「図書室からね、グラウンドよく見えるの。こんな事言ったら気持ち悪いかもだけど……翔真くんがサッカー頑張ってるの、いつも見てたよ」

「……え?」

「だけど、雨の日は見れないでしょ?だから雨が嫌いだった。……でも」