「嘘つけ」


俺は即答した。

友人がカオナシのようにポカンと口を開けて固まっている様子を見て、勝ち誇ったように「ふっ」と鼻で笑ってみせる。


「騙されねーかんな」

「……え?」

「中村と、雨の日は一緒に帰るって約束してんだ」

「いや、あの……」

「『先帰る』なんて連絡も来てねぇし」

「ちょ、翔真……」

「お前、もっとマシな嘘つけよなぁ」

「嘘じゃねぇって!」


突然張り上げられた友人の声に、俺はピタリと動きを止める。

その声色は明らかに冗談の域を越えていた。
それに加えていつになく真剣な表情。


……嘘だろ?

だって、俺。
中村を信じるって決めたんだ。

俺と中村は両想い……なんだから。

連絡も無しに帰ったり、ましてや男と帰ったり……なんて、ありえないだろ?

そうだろ?


「そんなに信じらんねぇなら確かめて来いよ……自分の目で」