語尾を濁す俺の次の言葉を待つ中村。

その瞳に負けて、俺は言葉を選びながらポツリポツリと話し出した。


「……なんか俺と中村って、今まであんま関わりなかったし。その、付き合えるとか、全然思ってなかったっつーか……今も実感がないっつーか……」


恥ずかしさから、途中から鼻の頭をポリポリかきながら軽く俯いていた。


中村からの言葉はない。
どんな顔してんのかもわからない。


女々しいな、俺……。


こないだ勢いで告白した俺に中村がくれた返事は、「いいよ」だけ。

その時はただただビックリしてただただ嬉しかったけど、時間が経つにつれ不安になってる。


『ただ断りにくかっただけかもしれない』


俺は知ってる。

中村が人一倍、他人に気をつかう性格だという事を。
一見気づきにくい、中村の優しさを。


だから、不安になる。


「俺の部活がすぐ終わる雨の日だけ一緒に帰ろう」という約束を交わして、今日中村がこの場で待っていてくれた時。
本当はすごく安心した。

もしかしたらいないんじゃないかって思ったから。

中村がそんな事する奴じゃないってわかってても、やっぱりどこか不安を拭いきれずにいた。


まるで今も片想いしてるような……そんな気分。


中村に好かれてる自信が、俺にはない。