シバの気まぐれは本当にすごいのだ。
ず―っと喋ってなかったのに
ある日突然
「おまえ犬みたいなくせに
なんで『ミケ』なわけ?」
と聞いてきた。
「犬みたいって何!?」
そう聞き返すと
「尻尾ふりながらケーキに走ってくから」
と哀れむような視線を向けられた。
「あんただって猫みたいにすぐ丸くなって寝るくせに
『シバ』って柴犬みたいなあだ名じゃん!!
だいたい尻尾なんかついてない!!」
こんな会話が
あたしとシバの最初のやりとりだった。
それ以来シバは
何かとあたしに気まぐれ行動を起こして
あたしを困らせる。
そして今日の気まぐれが
あたしのケーキの盗み食い。
…最悪…。