薄情な恭が帰ってしまってから、結局何も話せないまま夜になってしまった。
この時間、泰ちゃんはいつものようにあたしの部屋で勉強をしている。
勉強の邪魔にならないように、自分の部屋のドアをゆっくり開けた。
「……あれ?」
チラッと覗くと、部屋は真っ暗なままだった。
さっき、部屋使っていい?と聞いてきたから、居るはずなんだけど。
そっと中へ入るとベランダがある方のカーテンがなびいている
窓が開いてるんだ。
ベランダには確かに、泰ちゃんがいて外を眺めていた。
「泰ちゃん…何してるの?」
「あ、蜜葉。今ちょうど呼びにいこうと思ってたんだ。…ほら」
泰ちゃんは上を指さす。
「なに……うわぁ」