ご飯も食べ終わって、みんなが自由にお喋りやテレビに夢中になってる頃。
「ね、ねぇ。泰ちゃんどうしちゃったのかな」
「……さぁ」
「さぁ、って薄情な!」
あたしは恭を隅に追いやって話していた。
“本当、妬けるくらい”
泰ちゃんが恭に嫉妬?
「だ、だいたい恭が悪いんだからね!」
「どっからどう見ても蜜葉だろ!」
あの後、無表情だった泰ちゃんはすぐにいつもの顔に戻った。
だけどそれは表面上だけなように、あたしは見えた。
「…じゃあ、お節も食べたし、俺帰るわ」
「は!?」
「おばさん。ご馳走さまでした」
「あら、恭くんもう帰るの?お母さんによろしくね」
「ちょ、ちょっと!!」
そそくさと玄関に向かう恭を追いかける。
ドアに手をかけた恭は、クルリと振り向いてニッコリ笑った。
「あとは頑張れ、じゃ」
そう言うと、本当に出て行ってしまった。
う、裏切り者ーっ!!