「で、泰輔はどうしたんだよ。元気ねーじゃん」
「……」
こいつは、どうしてこうなんだろう。
チャラチャラしてんのかと思えば、そんなこともなくて。
昔から人の気持ちに敏感で、妙に大人びていて。
少なくとも俺よりは。
感が鋭いのか何なのか。
恭には何もかもお見通しだ。
「はぁ。どうせあれだろ?蜜葉となんかあったんだろ」
――ビクッとした。
まさかここまでわかってたなんて。
何も言い返さない俺を見て、大きなため息をひとつ。
「はぁー。何があったか知らねーけどさ。もっと自分に自信もてよな」
茶色かがっていた髪を、受験前だからか黒にした恭は
いつもより少し大人びて見えた。