「ははっ!!だろうな!」
そう言って笑いながら、自分がつけていたマフラーを俺に差し出してくれた。
あまりの寒さに、遠慮なくマフラーを手に取った。
首元から入ってくる風が防げ、それだけで体があったかくなる。
…って。
何やってんだろう、俺。
馬鹿みたいに飛び出して、年下の恭にも迷惑かけて。
「買いもん?恭は余裕だな。蜜葉は必死で勉強してるぞ。一緒の学校、行くんだろ?」
「親父が酒買ってこいってうるさいんだよ」
そう言って恭は持っていた紙袋をカサカサと揺らした。
そういや大林家の親父さんは酒豪だったな。
「それに!アイツと一緒にすんなよ。蜜葉より俺のが偉いぞ?」
「ふっ。それ、蜜葉に言ったら怒るぞ」
高校行くために猛勉強してるやつがいるっていうのに…。