「あれ?どこか行くの?」


玄関で靴を履いている時、良いタイミングでリビングから出てきた一葉ちゃんに声をかけられた。



「うん。ちょっと散歩行ってくる」


「あ。ちょっと……」



一葉ちゃんが何かを言おうとしていたけれど、気にせずに飛び出した。


とりあえず今は1人になりたかった。




「はぁ…。――あっ」



勢いで飛び出してしまったことに後悔。



しまった。
上着を着るのを忘れた。



不覚にも、自分の白い息で気付くなんて。


それほど気が動転していたんだ。


もしかすると、さっき一葉ちゃんが呼び止めたのはコレだったのかもしれない。



1月の寒空に、こんな薄着で外に出る人なんていないだろうから。