「……え？」
蜜葉の顔から笑顔が消えた。
どうして言ってしまったんだろうと
蜜葉の顔を見た瞬間、酷く後悔した。
蜜葉は俺のことを“いとこのお兄ちゃん”としてしか見てないことぐらい分かっていたのに。
だから、ずっと言わなかったのに。
「……ごめん。忘れて」
冗談だよって言えばよかったんだ。
そしたらまた、蜜葉は笑ってくれるのに。
だけど、そんな事考える余裕はこの時になくて
部屋を出ようとドアノブに手をかけた時だった。
「た、泰ちゃん…っ」
「……っ」
蜜葉に呼び止められて初めて
俺は蜜葉よりも子供だったということを知った。
パタンとしめたドア。
ドアの向こうで蜜葉はどんな顔をしているんだろう。
……ごめん。
困らせたかったわけじゃないんだ。
