その言葉が余程ショックだったのか
お父さんもお母さんも苦しそうに顔をしかめた。
「泰ちゃんを捨てたくせに!どうしてあたしを産んだの!!」
「蜜葉の前で、こんなことを言うのは間違っているけど…
蜜葉がお腹にできた時、迷ったんだ。産むべきなのか、と。
けど、今度こそ産まれてくる子を愛そう、そう決めたんだ」
そんなの
ただの言い訳でしかない。
だってそんなの…
だって、泰ちゃんとあたしは…
「泰ちゃんは… 何も言わなかったの?」
あたしの言葉に、お父さんは目を泳がせた。
俯きかけて、それでも意を決したように口を開いた。
「“俺は、蜜葉が好きだから”って…」