すぅ、っと息を吸いこむ音が静まった部屋に響く。



お父さんが口を開こうとした瞬間




「…待って」



お母さんの声が、それを遮った。






「私が言います。これは…私の問題だから」





2人の視線が、お母さんの方へとゆっくり移動する。




お母さんは静かに話し始めた。






「今から19年前」





ゆっくりと、思い出を語るように






「この家に、長男が産まれた」





真実を






「その子に、泰輔という名前をつけた」