「お姉ちゃんは、中を見たんだよね」
そう言うと、お姉ちゃんは静かに頷いた。
早く中を見たい反面、怖いという気持ちが押し寄せる。
好奇心と恐怖心が頭の中で入り混じる。
「あたし、蜜葉が泰ちゃんのこと好きだって気づいてた」
心臓が一瞬飛び上がった。
バレているとは思っていたけど、直接言われるとなんだか気まずい。
けれどお姉ちゃんは言葉を続ける。
「だから言おうか迷った。
けど、これは蜜葉も知らなきゃいけないことだと思ったから」
「なに?なんなの?」
お姉ちゃんの肩を掴み、そう言うと
箱は簡単にお姉ちゃんの手から転げ落ちた。
その衝撃で中身が床に散らばる。
「なに…?」
散らばった物に目をやると
そこには、写真や古びたノート
そして一冊の手帳。
これって…、母子手帳?
それだけを手に取り、名前を見る。
時間が
止まったような気がした。
子どもの欄には泰ちゃんの
母親の欄には
あたしのお母さんの名前が記してあった。