「じゃあ、ちゃんと寝て早く治せよ?」
お皿を乗せたお盆を持って、泰ちゃんは立ち上がる。
その瞬間、急激に訪れる寂しさ。
行ってほしくない
けれど、このまま居て風邪が移ってはいけない
迷惑がかかる
だけど、今は傍に居てほしい
「あ、あぅ……」
一瞬にして頭で格闘した結果、自分でもよくわからない言葉を発してしまった。
おまけに無意識に服を掴んで引き止めてるし。
頭より、体は素直なんだと実感。
泰ちゃんは驚いた顔をして振り向いた。
そして、一瞬ボウッと服を掴んだあたしの手を見つめて、少し切なそうに笑うと
あたしの手をギュッと握ってくれた。
「大丈夫。大丈夫だから」
何度も大丈夫だと、あたしの手を握りしめ言う。
その姿がとても苦しそうで
泰ちゃんが泣いているよで
喉の奥がギュッと痛くなった。