せっかくの夏休み。
泰ちゃんと過ごせる日も残り少ないっていうのに
よりによって熱だなんて。
「蜜葉は昔から、夏風邪だけは引くのよね」
苦笑しながら、あたしの頭の下に氷枕を敷いてお母さんは立ち上がった。
「今日は大人しく寝てるのよ」
「はぁい…」
パタンと扉の閉まる音がすると、急に孤独感に陥ってしまう。
風邪なんかで弱ってる時は特に。
時計の針の音がいつもより大きく聞こえたりする。
取りあえず寝ころんで目を瞑ってみる。
やっぱり寂しい。
あぁ、プリン食べたいな…
風邪を引いても食欲だけはある
あたしの唯一の取り柄だ。
しばらくすると、遠いところで扉をノックする音がした。
ふと目を開けると、泰ちゃんがあたしの顔を覗いていた。