「いや、えーっと…。な、なんでもない!」
全然誤魔化せていないけれど、あたしにそんなすぐ頭を回転させるなんて無理な話で
へへっ、ときっと馬鹿な顔してるだろうと思いながらも笑顔を作ると
泰ちゃんは一瞬、不思議そうな顔をした後
少し悲しそうに、笑った。
泰ちゃん、
どうして、そんな顔するの?
あたしには、どうすることも出来ないの?
今日は、なんだか
泰ちゃんが遠い。
「あ…」
周りの、誰かの呟きに顔を上げると
頬に冷たい、何かが当たった。
「雨…」
それが雨だとわかった瞬間
ものすごい音をたてて、雨はあたし達の体を濡らした。