日和のその顔を見ると、余計に恥ずかしくなってきて
「た、泰ちゃん…?」
なかなか離してくれない泰ちゃんを不思議に思い、顔を上げた
その時。
――ドォンッ…
大きな音と共に、大勢の人が一斉に同じ方向を向いた瞬間
泰ちゃんはパッと手を離して、あたしから一歩引いた。
「た…」
「花火、始まっちゃったな。もっと見えやすい所に移動するか」
「…あ、それならあっちが良いですよ」
日和が遠慮がちに土手の方を指差しながら言った。
あたしの言葉は遮られたまま、泰ちゃんは前を歩く。
それが何故だかすごく嫌で、あたしは何も言わずに泰ちゃんの服を引っ張った。