「じゃあ、見やすいとこまで移動しようか?」



河原の空いているところを見渡し、先頭をきって歩く泰ちゃん。




「あのー。忘れられてるみたいなんですけど」



それに着いて歩き出そうとすると、頭の後ろからボソボソと聞こえてくる低い声。




「俺、今日来る意味あった?」



振り返ると、腕組みをして呆れ顔の恭が立っていた。



「いーじゃない。どうせ暇だったんでしょ?」


「俺の予定をお前が勝手に決めるな」




偉そうなこと言って。
どうせ暇だったくせに。




「泰ちゃん、最近ちょっと変で。気分転換に花火見に行こうって誘ったんだけど、一人じゃきっと行かないし。恭が行ったら行くかな…って」


「勝手に俺の名前出したってわけ」


「ご、ごめん。…でも、それだけじゃないの」


恭は、ん?って顔でこっちを向いた。