パタン




仁が俯いたまま出てきた。



「あはは…安也子、いなくなっちまった…馬鹿だよな…死なないって自信満々に言ってたくせに…」
「仁…」
「皆ゴメンな、迷惑かけちまって。見知らぬ人が他界したって悲しくねぇよな。あはは…」



バコッッ




「隼斗っ!」
「ってぇな何すんだよ隼斗っ!!」
「意地張ってんじゃねぇよ!」
「…な…意地張ってねぇし」
「涙我慢してるくらいわかんだよ。」
「……」



「泣けよ…仁。」
「……」
「男なら我慢すんな。女見てんのに、カッコわりぃとこ見せんなよ。」
「泣いたらカッコわりぃじゃん。」
「は?だーら、泣かない奴なんて世の中いねぇよ。泣くの我慢する奴なんてカッコいいわけねぇだろ。」




「……相変わらずカッコつけだな…グスッ」
「るせぇよ…」





仁は涙を袖で隠しながら、静かに泣いた…