ザブンッ! と勢いよく川に落ちたルゥ。
たいして慌てず、顔を水面から出し、脱げたフードをかぶり直す。

水の流れが速いせいと、
辺りが暗いせいで上手く岸にあがれない。

水の中にいるせいで、
ナイフで刺されたところから血が止まらない。


そして、雲に隠れていた月はまた姿を現し、辺りを照らし始めた。

ようやく岸にあがったが、左足がズキッと痛む。

『チッ、捻ったか』

これじゃぁすぐには帰れない。
それに、右腕も使い物にならない。

しばらく左足を引き摺りながら森の中を歩いていたルゥは、ピタッ と動きを止め、
ナイフを手に持ち、シュッ と木に向って投げる。


「なんだ。気付いてたわけ」

その言葉と共に、
木から飛び降りたシークが現れる。

「殺し屋ルゥ、みーつけた」

ニッと笑うシークに対し、ルゥは冷たい表情をする。