ギリギリのところで、
いや、少し仮面に剣が当っているが、それ以上勧めないようにナオが止めていた。

「ちっ、もう少しでその血にそまった狐の仮面を壊せる所だったのに」

「ははっ。本当にこんな戦い久しぶり」

そしてシークとナオはお互い下がって、少しの距離をとる。

その時、少し剣が当ったためか、衝撃でピキッと仮面に罅(ヒビ)が入る。
そしてそのまま罅が入っていき、
ボロッと右目から鼻にかけて仮面が崩れた。

現れた右目は、
透き通るほどキレイなスカイブルーの瞳。
そして薄い金色の髪がその瞳を更に目立たせる。

あまりの美しさに、一瞬シークは見惚れてしまった。

「ナオの馬鹿野郎が。顔は見せるなっつったのに」

レイは小さく舌打ちをする。

『ナオ、レイ』

ずっとナオの戦いを黙って見ていたルゥが二人を呼ぶ。

『大勢のポリスがこっちに向って来てる』

「距離は?」

『約200メートル先』

「そうか。遊びは終わりだナオ。戻るぞ」

「今回は素直にきくよ。仮面もちょっとやばいしね」

そう言ってナオは手で右目を隠しながら
ルゥのところまで戻る。

「ちょっ、逃げる気!?」

クラルのその言葉を無視し、レイも剣をしまい二人の所まで戻る。

「楽しかったよ、シーク」

そう言葉を残し、三人はサッと姿を消してしまった。

「シーク!追いかけないの!?」

「あぁ。目だけだったけどアイツの顔は見れたし。それに左手痛ぇし」

そう言って左腕をみればシークは二の腕のところから血を流していた。

「・・そうね。さっさと宝石持ってあたしたちも戻りましょう」

そして盗み屋の二人も、
血にそまったホールから姿を消した。



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