『ナオ』


彼はゆっくりと ルゥの方を見つめる。
血まみれになった彼女の姿が目に入れば、 無意識に手に力が込められていた。


『助かったよ』


きっとナオやレイが後少し遅ければ、 ルゥ そしてシークは、殺されていたかもしれない。



「・・・・・・でも、遅すぎた」


彼は、下唇を食い締める。

そしてジッとシークを見た。



「シーク、・・・・怪我は大丈夫か」

その言葉に シークは一瞬、目を見開け 鼻で笑った。


「あらら、俺はてっきり 死んでくれた方がマシだ って言われるのかと思ってたのに。 お前らの情報を誰よりも知っている俺を、 お前は心配するんだ」


「・・・・・・うるせぇ。 お前のおかげでルゥは助かったんだよ」


『・・・・・・そもそも、何故僕を庇った? 自分が死ぬかもしれないのに、馬鹿な事を』


彼女は すぐ横にいるシークを、見上げた。


『・・・・ッ』


シークは 彼女の頬に触れる。