納得していなさそうな顔をしているから、その視線と合わないように顔を逸らす。
「ふぅん」
窺うような視線をビシバシ受けるけれど、敢えて無視した。
視線を合わせたら終わりだ。レリアに隠しごとは出来ない質(たち)なのだから。
すると隣りでため息が聞こえた。
「まあいいわ」
首に腕が回ったかと思ったら、グイッと引っ張られた。
すぐ後には彼女の膝の上。
「その、充血した目でいさせるのは嫌だわ。寝るなら寝て下さいな」
「ん……」
愛しい匂いに包まれるとここが本当の居場所なんだと改めて思う。
やっぱり自分の幸せは彼女抜きではあり得ない。
「ねー、レーア?」
「なぁに?」
可愛らしく小首を傾げる彼女の頭を撫でくる手を握った。
「どっか行ったりしないでね」
「はいはい」
苦笑した彼女の顔が見れない。何故なら、絶対顔が真っ赤だから。
こんな歳になって女一人傍にいないだけで寝れないなんて他人に聞かれたら笑われるに決まっている。
でもどうしようもないのだから仕方がない。
「ちゃんといます。何かあったら起こすから安心して寝て」
「うん……」
薄らぐ意識の中、彼女の一言でこんなに安心する自分が凄い単純に思えてくる。
でも自分の世界は彼女を中心にして回っているから、やっぱり仕方がない。
絶対重症だよ…。
そんなことを思う。
いつも愛を言葉にするのは僕だけ。
たまに彼女に強要することもあるけれど、レリアは言われた時しか言ってはくれない。
本当に彼女は僕が好きだろうか?
愛してくれているだろうか?
浮かぶ思いは尽きることを知らない。
いつも余裕のレリアが僕にヤキモチを焼くことはあるだろうか。
いつもこっちがヤキモキさせられるから。
一度くらいレリアにヤキモチを焼かせてみたいなぁと、そんなことを思いながら意識を手放した。