いつのもように朝方、起きたレリアはまだ黒い髪を掻き上げながらルゼルの心配事を聞いている。


その話を聞いて、私は素っ気なく返事を返した。

「良いわよ」

当のあなたは、偉く驚いた様子。

「良いの?だってセヘネとお茶会だよ?僕たちの関係がばれたら、とか心配じゃない?」

心配げに問うてくるルゼルにレリアはにやっと口角を上げる。

「ボロは出さないわ。私を誰だと思っているの?メレイシアの娘よ」

「そーゆー問題じゃなくてさぁ、いくら昼と夜のギャップが激しいからって言って、バレない保証はないんだよ?」


前会ったことのある彼の婚約者、セヘネ。彼女がレリアとのお茶会を希望したとかどうのこうの。
それにレリアが一言返事でOKしたから、ルゼルは心配なのだろう。


「クー。私子供じゃないのよ。もう十九の娘なの。そこまであなたに心配されたら終わりだわ」

「どーゆー意味だよ」

機嫌を損ねた彼の、頭をそっと撫でる。
仏頂面がだんだん笑みに変わった。


「そういうところ」

「?」

「私相手だったら、あなたは簡単に絆(ほだ)されてくれるでしょう」

きょとんとした彼の頭から手を離し、不敵に笑う。

大事にされている。愛されている。それが分かるルゼルの一面。
それは、レリアになら何を言われても、優しくされれば許してしまうところ。
愛して愛されての関係が成り立っている仲で、甘えていい相手だと分かっているから、彼は優しくされれば許してしまう。

なんとも扱いやすい人。



「……じゃあレーアは僕の性格利用してるわけ?」

下から睨み付けられて、レリアは笑う。

「機嫌の悪いときは。だって私は甘えるあなたが好きだもの」

甘えているときが一番愛されていると感じるから。この、本来なら愛してはいけない人を束縛できるから。
だから私は、甘えているときのこの人が一番好き。


面食らったようなルゼルは、ともすると腕を引っ張ってきた。すぐ後には彼の腕の中。