「ごめん……」
震えるこの細い身体を。愛しいその笑みを。守れるのは、自分だけだと言うのに。
「甘えすぎてたね…」
もっとちゃんと自立しなければ、メレイシアに認めてもらおうなど夢のまた夢になってしまう。
「君をここへ連れてきたのは僕だ。だから、責任を持って愛さないとね」
「…責任を持つものなのかしら」
呆れたようなレリアの顔を、間近でじっと見つめる。
「当たり前だよ。だって僕、レーアに手を出さないっていうメレイシアとの約束破ってるから」
「………」
レリアが黙り込む。
手を出したら国を滅ぼしてやる、とまで言われたのに、一線を越えてしまった仲だ。殺されるのも覚悟しなければ。
でも、それでも後悔していないのは多分、相手が彼女だからだろう。本気で愛している人だから。
二人の初めては、二年前。レリアがルゼルを好きになったと告白した日の夜。
「そういや、レーアは僕のこと年下だと思ってたんだよね」
「あのときのあなたは可愛かったもの。当然だわ。でも、二歳も年上だと聞いて本気でショック受けたわ」
クスクスッと笑うレリアにルゼルはムッと言う顔をする。
「どーせ女顔だよ」
「こう見ていて、まだ私と同じくらいに見えますよ」
二十歳を過ぎても、やっぱりレリアにして見れば一緒。と言うよりレリアが世話好きでルゼルが甘え好きだから、どうしてもそう見えるのだ。
「……そんなこと言ってると、お仕置きするよ」
「いーやーです」
ふふふ、と笑いながら、しかし自ら口付けてくるレリアに抱くのは、胸が張り裂けそうなほどの愛情で。
これを愛しいと言わず、なんと言おう。
「レーア、愛してる」
耳元で囁くと、くすぐったそうな顔をする。
「私も……愛してます」
にこ、と微笑む彼女は、あまりにも可愛すぎて。
きっと彼女がいる限り、翻弄されまくるんだろうなぁとちょっと感じたルゼルであった。