あんなにきっぱりと言って出てきたのに、四年の月日を過ごした今、こうやって彼を好きになっていることはいけないこと。
でもそれを知っていて私を送り出したメレイシアも、意地悪と言えば意地悪なのかもしれない。
あの日から私は変わった。
これ見よがしな美しい、ウェーヴのかかる蜂蜜の髪と瞳は夜になると色を変える。少しでも闇を浴びれば変色する。髪はストレートの漆黒に。瞳は銀に。
そして反対に、光を浴びると金へと変わる。
だから昼と夜、私の髪と瞳の色は違う。陽の出ている間は金に。月の出る夜には黒と銀に。そう、まるで。
--まるで、光と闇の神のどちらからも愛されるかのように。
でもこれはメレイシアの仕業。また一つ、レリアを神へと近づけただけ。そして、これはレリアの心を奪おうとする王子へのあてつけでもある。
『どれほど愛しても、必ずレーアは戻ってくる』という彼女の確固たる自信の。
夜私を愛する彼に向けた女神の悪戯は、確かに効いているかもしれない。
彼は言う。夜になると君は何処か危なげだ、と。
どれだけ夜レリアを愛しても、レリアの心が彼に向こうと、レリアはメレイシアとの約束を破れない。だって彼女はレリアの恩人であり、母であり、誰よりもレリアを束縛する力を持つ女神だから。
彼だけの力では、レリアを留めることは出来ない。
どれだけ彼を愛しても。どれだけ彼が愛しても。
決して結ばれてはいけない運命(さだめ)の元に私たちはいる。
だから。
「帰るから……それまでは許して…」
許されない、この狂おしい恋を。