人の母親ならば必ず女神メレイシアの言うことは聞いてはいけないと言うかもしれないが、レリアにとってメレイシアの言うことは絶対。だからレリアがその言葉を無視することなどありえなかった。
でもメレイシアは自分たちと同じものにしてくれると言ったのに、どれだけ長い時間が過ぎても何かしてくると言うことはなかった。
少しずつ大人の女の身体へと成長を始めたレリアの体。周りに見るものがまるで変わらないのに私だけが変わっていく。それがどうしても孤独感を深め、成長期のその時期は何度も何度も尋ねた。
「お母様、いつになったら私をお母様たちと同じものにしてくれるの?」
『そのうち。もう少ししたらだよ』
返ってくる言葉はいつも同じ。彼女の『そのうち』が分からなくて、すごい悩んだりもした。
でも彼女がレリアを変えてくれる日はまるで来なかった。
いつまでも綺麗な『永遠の美』を持ったメレイシア。その人の愛情が少しずつ大きくなるごとに薄れていくようで、大人に近付こうとしていく体が疎ましかった。
私は子供のままでいたい。大人になんかなりたくない。
願っても育っていく身体。嫌で嫌で、その身体を見られないように毎日メレイシアの目の届かないところに逃げた。
バカな私。この森でメレイシアの目が届かないところなどないというのに。
そんな暮らしが続いたある日、森の中にまた子羊たちが迷い込んだ。
(愚かな人たち……お母様に見つかったら生きて返してもらえるかも分からないのに)
そんなことを頭の隅で考えていたとき、自分の上に影が差した。
思わず見上げる。
『君は俺が来るのが分かるのかな。どうしていつもメレイシアの前に君を見るんだろう』
聞こえてきた声は、聞き知ったもの。
自分と同じ濃い金髪を風に揺らし、その人は目を細めた。
『久しぶりだね、レーア』
「……ロアル様……」
何故彼がここにいるのだろう、と思うが、お母様に会いに来たんだ、とすぐに結論に達する。彼がここに来るのにそれ以外の理由があったことなど、今までなかったから。
でもメレイシアは自分たちと同じものにしてくれると言ったのに、どれだけ長い時間が過ぎても何かしてくると言うことはなかった。
少しずつ大人の女の身体へと成長を始めたレリアの体。周りに見るものがまるで変わらないのに私だけが変わっていく。それがどうしても孤独感を深め、成長期のその時期は何度も何度も尋ねた。
「お母様、いつになったら私をお母様たちと同じものにしてくれるの?」
『そのうち。もう少ししたらだよ』
返ってくる言葉はいつも同じ。彼女の『そのうち』が分からなくて、すごい悩んだりもした。
でも彼女がレリアを変えてくれる日はまるで来なかった。
いつまでも綺麗な『永遠の美』を持ったメレイシア。その人の愛情が少しずつ大きくなるごとに薄れていくようで、大人に近付こうとしていく体が疎ましかった。
私は子供のままでいたい。大人になんかなりたくない。
願っても育っていく身体。嫌で嫌で、その身体を見られないように毎日メレイシアの目の届かないところに逃げた。
バカな私。この森でメレイシアの目が届かないところなどないというのに。
そんな暮らしが続いたある日、森の中にまた子羊たちが迷い込んだ。
(愚かな人たち……お母様に見つかったら生きて返してもらえるかも分からないのに)
そんなことを頭の隅で考えていたとき、自分の上に影が差した。
思わず見上げる。
『君は俺が来るのが分かるのかな。どうしていつもメレイシアの前に君を見るんだろう』
聞こえてきた声は、聞き知ったもの。
自分と同じ濃い金髪を風に揺らし、その人は目を細めた。
『久しぶりだね、レーア』
「……ロアル様……」
何故彼がここにいるのだろう、と思うが、お母様に会いに来たんだ、とすぐに結論に達する。彼がここに来るのにそれ以外の理由があったことなど、今までなかったから。