夕焼け空をじっと見ていたレリアは、不意に視線を感じて振り向いた。


見られている。何やら強い感情のこもった目で。



周りを見てみるとすぐにそれが誰なのか分かった。


茶色い髪の毛。緑色の瞳。雰囲気は違ったけれど、でも顔がセヘネにそっくりだったからすぐに分かった。

……セヘネの母親。



こんなところで会うなんて。
時に運命はとても残酷だ。

彼女が呆然とした顔をして近付いてくる。その顔には驚愕が張り付いていた。


「フィリーナ……?」


呆然と吐かれた声にレリアは表情を変えない。でも、彼女は泣きそうな顔をしてレリアを見た。


「フィリーナ!!あなた生きて……」

「レーア!!!」


セヘネの母親の言葉を掻き消すように張り上げられた大声。
見ればそこには、焦燥を張り付けたルゼルがいて。


レリアは口の端を上げた。


「さようなら……」


その言葉を掻き消すかのように、次の瞬間窓ガラスが一斉に砕け散った。