もう起きてしまったことだから。メレイシアの娘になったことも、クーの子供を身籠ったことも。

すべて結果論に過ぎない。



「良いのよ、ロアル様。私は約束を守ってお母様の元に帰ります。でも、この子だけは譲ってあげない」


何よりも大事な命。だから、誰にもあげない。



レリアを説得するのは諦めたようにロアルは溜め息をつき、レリアとミースを見ると顔を歪めて姿を消した。


ミースは眉をひそめて神がいたところを睨んでいる。



「姫様……!!あなたと言う人は!!」


怒り露に怒るミースが説教してくれのは想定済み。
でもその小言を全て無視したレリアは、ミースに向かって満面の笑みを浮かべた。


「ドレスを一着用意してほしいの」

「ドレス……?」

「そう。真っ白な……真っ白な」


何を言っているのか分からない、と言う顔を、ミースはしている。
レリアは笑みを深める。


そう。
それは最後の悪足掻きだ。
私と私の子供を認めようとしない人たちへの、せめてもの抵抗を。











―――そして、ルゼルに絶望的な愛の終焉を気付かせるために。