それに。

『レーア!!』


ほら、来た。


視線をくべればそこに翻る、金髪。

ひどく焦った様子の金の神は食いつかんばかりだ。

『レーア……子どもが出来たって……』

「ええ」

分かっていることを否定したいのだろう。確認するように聞くから、きっぱり答えてやった。

そんなレリアにロアルは顔から血の気を引かせる。

『レーア……君、なんで……?』


信じられないっていう顔をしているロアルの顔は真っ青だ。

当たり前。
だって。

『君はクーの子どもなんて、出来ないはずだ』

……誰もが分かりきっていたこと。それを覆せば、驚かせるのは仕方がないこと。


レリアは口元に笑みを浮かべた。

「ロアル様は分かっていらっしゃるんじゃないの?」

『……何を?』


分かっていてしらばっくれるのはズルいと思う。

まあこの人たちはその方法をルゼルには教えなかったから今こんな状況になっているワケだけど。

「知っていらっしゃるでしょう?私の秘密を」

『………』


誰にも知られることのない秘密。大好きな人にすら教えたことのないもの。


それがあるからこうしてレリアは存在している。そしてルゼルの子どもを授かっている。

「私は、自分のこの体質を知ったとき嬉しかったわ……」

『………』

だって、そうでしょう?
この力がなかったら子どもなんて出来なかったんだから。


『……僕は神の主として言わせてもらうよ』

「………」

『はっきり言って、その子どもの命は諦めてもらいたい』

「………」

『対立する僕とメレイシアがそれぞれ寵愛しているクーと君の間に子どもが出来たなんてことになったら大変なんだ。だから、その子どもは手放してほしい』