朝、目が冷めて一番最初に見えたのは、天井。

眩しくて目を細めれば、しっかり閉まっていなかったカーテンの隙間から光が侵入してきている。

あれに起こされたのか、と回らない頭で考えながら隣りを見た瞬間。

「―――っ!?」


思わず飛び上がった。


なんで。
そんな疑問符が頭の中に浮かび上がる。

目を覆うくらい長くなった金糸が顔半分を隠している。規則正しい寝息を立てているその人は、こんな時間にここにいてはいけない人。


「くっ、クー!!起きて下さい!時間いけなくないの!?」


慌てて起こそうとすると彼の眉間にシワが寄った。

「レーア、煩い…」

布団を引っ張って頭まで潜ったルゼルは低い声を出す。

珍しく昨日は酔っていたみたいだから、多分二日酔いだろう。

「クー、仕事は?」

耳元で聞くとピクリと動いたあと、まだ半分寝てそうな顔を布団から出してきた。

クセのついている金髪をぐしゃぐしゃ掻いている。

「あー…、いいや」

「良くないでしょう?トファダに迷惑かけるわよ?」

「………いいよ。怒られるなら今日でも明日でも一緒だし。今日の仕事はあいつ一人で出来るから」


一瞬間があったのに引っ掛かった。

(トファダと何かあったのね…)

なんと分かりやすいことか。

それで頭にきて自分に当たってくるところ、また困ったものだ。

(怒らせないでって言っておいたのに……)

こっちに飛び火するから。


ため息をついてルゼルを見る。すると目の前で青い瞳がキラリと光った。


「今日はこのまま甘い時間を過ごそう?ね?」

「ね、じゃないわ。私はイヤよ」

「あそう。じゃあ僕は寝てるから」

ひらひらと手を降られてルゼルは布団に潜り込む。

随分と軽く言われてポカンとしてしまう。
気紛れで面倒臭いこと大嫌いな彼は、もうやりたいことをやろうとしている。こういう時は何を言っても無駄だ。