「な、直希……」


「……なんだよ」



お姉ちゃんの顔は、真っ青だった。

指先はカタカタと、震えている。


俺は雨音に苛立ちを覚え、眉間にシワを寄せつつも、お姉ちゃんを見つめた。





「……今ね、ベランダに出たの。
そしたらいたのよ、家の前に……





百合那ちゃん」






.