俺は慌てて立ち上がり、パソコンの画面の前に立ち塞がる。

椅子は音をたてて倒れた。




「なーにやってんの、直希は」

「う、うるさい!!
ノックくらいしろよ!」

「したわよ。
まぁ、聞こえてないだろーけど」



しどろもどろ話す俺に、お姉ちゃんはあっさり応える。


……"お姉ちゃん"って言ってるが、俺はシスコンじゃない。



「で、あんた誰にチョコあげんのよ?
百合那ちゃん?」

「ンなっ……なんで渡辺なんだよ」

「毎年もらってんじゃない。
去年はもらえなかったけどね~」

「だからって、なんでバレンタインにあげなきゃいけないんだよ!
俺は他のヤツにあげんだっ!!」

「ふぅ~ん。

やっぱりバレンタインにチョコ、誰かにあげるんだ??微笑」



やべ……っ!!

さすが一流高校学年トップ5入り。
何枚か上手だ……。


お姉ちゃんはニヤニヤしながら、次の俺の言葉を待っているようだ。




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