皆、驚くような目で扉の方を見つめた。

゙ソイヅは左手に借りたであろう教科書、そして空いている右手で、静かに扉を閉めた。





「……、……優斗?」





戸惑いと恐怖の入り交じった声の主は、花奈だった。



静まり返った教室なのに、ギリギリ聞こえるくらいの、小さな声だった。

初めて聞いた、花奈の弱々しい声でもあり――――



ガッッ!


「痛ッ!」


全員が゙ビクッ゙と体を強ばらせる。


優斗が、匠を蹴ったのだ。
いつもばくん゙付けで呼んでいる、匠を。





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