頭の中であれこれ考えていると、彼女は言葉の続きを話しだした。


「あたし、ずっと前にハルと別れたの。」

「え!?」


彼女の言葉に、私は思わず驚きの声を上げた。

ハルは何も言わず、ただ黙っている。


「振られた理由は言わないけど、それで桃に当たっちゃったんだ。ごめんね、ひどいこと言って。叩いたとこ、痛かったでしょ?」


咲はそう言って、私の右頬に手を添えた。

私は涙を流しながら、ううん、と首を横に振る。

彼女はそんな私を見て、弱々しく笑みを浮かべながら、更に言った。



「私、彼氏できたよ」