息を切らしながら、ハルは続けた。


「今日、お前が校門の前にいるの見てさ。そしたら、いきなり顔色変えて走り出すから、心配でつけてきた。」


私は思わず顔を上げた。

目の前には、優しいハルの笑顔。

その笑顔は、初めて会ったときよりも、ずっと優しいものだった。


「どうして?あたし、ハルにひどいことばかりしてたのに…。どうしてそんなに優しいの?」


私は泣き叫ぶように、彼に言った。


「桃…?」


暗闇の先で声がした。

その声の主の姿をとらえると、私は目を疑った。