「桃……」


彼の体が離れ、今度は顔が近づく。

唇が触れそうになった、その瞬間。


「もーもー!!」


私とレンは驚いて、声のする方に顔を向けた。

そこには、いたずらっ子のように笑った男の人がふたり。


「俊兄!秀兄!」


私はふたりの名前を呼び、抱きついた。

よしよし、と私の頭を撫でるふたり。

ふたりは私を妹のように可愛がってくれていて、私もふたりを兄のように慕っていた。