数分して戻ってきた彼は、私に優しい声で言う。
「ほら。大丈夫か?」
心配そうな顔をする彼から、ペットボトルを受け取る。
蓋はすでに緩くなっていた。
「うん。ありがと…」
レンは「ハルくん、やっさし~い!」とか言って、ハルの背中を叩いた。
レンの言葉にお構い無しに、ハルはまだ心配そうな顔をする。
本当に優しい人なんだと実感させられる。
咲は私の横に座り、黙っている。
その表情は暗い。
当たり前だ。
好きな人が、自分が連れてきた友達に優しくしているのだから。
焦った私は、咄嗟にとんでもないことを言ってしまった。