「桃、隣で白目向いててさ!俺、マジで焦ったよ!」

「もお~!桃ってば、大丈夫~?」


さっきから、私の真っ青な顔を見て、咲とレンは笑ってばかりだ。


「ううう…。レンのばかぁ…。」


私は背中を丸め、ベンチにうなだれていた。

すると、誰かが私の背中を優しく擦った。


「水買って来るから、ちょっと待ってろ。」


彼はそう言うと、上着を私にかけてから、人ごみの中に消えていった。



「かっこいい……ハル。」


咲は、彼の遠のく背中にそう呟いた。



ねぇ、ハル。

そんなことされたら、女の子はみんな恋に落ちちゃうよ。


好きになっちゃうよ。