「行って来いよ」


「………うん!」



そのレンの言葉に、私は力強く頷く。

そして、立ち上がり、病室を飛び出した。



私には、行かなきゃいけない場所がある。




「桃!」




病室の前の廊下で、レンが私を呼び止めた。



「ずっと待ってるの、大変だろ?コイツだって、手術が成功したとしても、いつ退院できるか分かんねぇんだし。連絡してやるよ」



そう言った彼の挙げられた右手には、携帯が握り締められている。

私はレンの言葉に首を振った。



「ううん。ハルが私を待っていてくれたように、私もハルを待っていたいんだ」



私がそう言うと、彼は挙げていた右手を下ろした。

そして、笑顔を見せる。



「そっか。じゃあな!」



レンに手を振り、私はまた走り出す。





ありがとう、レン。