それから間もなくして。
相変わらず自動販売機の音だけが響き渡るロビーに、騒がしい足音が木霊した。
私と咲は、その音がする方向に顔を向ける。
そこには、キョロキョロしながら病院内を見渡している、レンのお母さんとお父さんの姿があった。
「あ、桃ちゃん!」
私の姿を見つけたお母さんは、私の元に駆け寄った。
レンの姿が見当たらないことに、正直ホッとする。
「ハルくん、ここ?」
レンのお母さんは、目の前の救急処置室を指差した。
私は、静かに頷く。
「そう……」
心配そうに緊急処置室の扉を見つめる、ふたり。
そして、私たちと一緒の長椅子に腰かけた。