たぶん、俺はそのゴボウセイをみて覚悟をきめただとおもう。

それから一時間あまり、児童公園の小さなベンチに二人でこしかけて色々と話した。

でも、‘ここらへん’について、ずべてを話したわけじゃない。

大まかな筋みたいなのを説明したんだ。

‘ここらへんについての、一番太い流れみたいなもの。

‘ここらへん’を完全に取り囲む、内と外の二つの川。

内の川の幅は10メートルに満たないけれど、外の川は30メートルあまりの大きな川だ。

‘ここらへん’を外の世界から隔絶し守ってくれている流れのような話。

その中にオプニカができてきたんだ。

「行きたい」

舞はすぐにそういった。

「日本人に滅ぼされた少数民族の儀式っていうのを、あたしも見たい」

「滅ぼされたっていうか、まだ細々とあるっていうしるしだけど」

「見たい、行きたい。そうして、自然といっしょに生きている民族のことをもっと知りたい。
もっと知って、早くなじみたい」

「自然といっしょっていうか、つまり3つの世界の真ん中に俺たちはいるわけで、だから」

「見たい、行きたい、見たい」

舞は興奮していた。

目をきらきらさせて頬を紅潮させて生命の塊みたいだった。

沢山の光。

俺はみんなに聞いてみる、と答えた。

民族にたいする敬いを感じれば、みんなもOKっていうと思うよ、とつけくわえて。

「うん。ありがと」

舞は満面の笑みでもってうなずいた。

つい三ヶ月ほど前のことだ。