なんだかお腹がいっぱいで眠くてたまらなくなってきた。

俺は、もう寝るわ、といって、自分の部屋へと足をむけた。

「おうそうだ。正婆はきのうの事故のことなんていってた?」

そうだった。昨日家にもどってきたとき、もう親父はとっくに眠っていたのだった。

今日は朝からマッサージの予約が入りまくっていたしで、まだ話していなかった。

俺は眠い目をこすりながら、かいつまんで話した。

邪ではあるけれど、それは、内と外、両方のが、溜まり溜まっているからだと、送りがいる、と。

「やっぱりイヨマンテか。わかった。ありがとな。おやすみ」

にっこり笑う親父の口元に、コロッケの衣がくっついているのがおかしかった。

ほんとうに舞の親父さんの飯はうますぎる。

真剣に招待も考えないと、とおもいつつ、自分の部屋のドアをあけたとき、親父の声がすっと飛んできた。

「湯本さんは気にするな。適当にあしらっとけ」

うなずいたとたん、意識が遠くなった。

この数日間、自分がどれくらい疲れていたのかが心底わかった瞬間だった。